
夜行列車の夜明け

赤い長靴の思い出

友だちは市営団地

まるでおとぎ話の様なファンタジックな世界観から、息を飲む程のリアルな情景まで、
ありとあらゆるメモリアルを、「その手の上に」再現するメモリアル・ミニチュア・アーティスト。
世界は、実はそれを見る者の感覚で出来ている。例えば、「雨」が楽しい事もあれば、物悲しく感じる事もある。
そして世界は、社会は、「ひと」と「ひと」、「想い」と「想い」の集合体で出来ている。
皆のメモリアルをカタチにして取り出す事が出来たなら。誰かの想いをカタチで表すことが出来たなら、
あの頃の想いを、永遠に遺すことができるのなら、きっとどんな世界が手のひらに拡がるのだろう。
そんな魔法の様な不思議な力を持ったアーティストを目指しています。
Mizugaki Yoshitaka
Memorial Miniature Artist
looks like a fairy tale to breathtakingly realistic scenes, A memorial miniature artist who recreates all kinds of memorials "in his hands."
The world is actually made up of the
senses of those who look at it. For example, sometimes ``rain'' is fun, but sometimes it feels sad.
The world and society are made up of people, thoughts, and thoughts. If only everyone's memorial could be taken out in a physical form.
If I could express someone's feelings in form,I wonder what kind of world will unfold in the palm of my hand.I aim to be an artist who has such a magical
この夏ずっと、私は先輩に告白しようか悩んでいた。
いつも手の届かないところで輝いている先輩。なんと声をかければ良いのだろう。そもそも私の存在なんて、先輩は気付いているのかな。
夏も終わろうとしていた今日、私は意を決して先輩に告白した。
結果は、もう思い出したくもない。もういっそプールに飛び込んでしまいたい!
ふと芽生えてしまった恋心。それに抗うことはできない。まだ若い彼らや彼女らには、経験も想像も出来ない世界。
先輩への恋は叶わなかったが、私にとっては青春の1ページとして心に刻み込まれた瞬間だった。
ある日、一通の依頼メールが私に舞い込んできた。『彼女にプロポーズするためのサプライズプレゼントを創りたい!』
彼女の大好きなコマ撮りアニメの1話に、交差点で突如、彼氏が片膝をついて求婚するシーンがある。
『このスタジオセットを完全再現して、彼女を驚かせたい!』
なんとロマンのある話だろう。依頼者さんはまだ年齢もお若い。
片膝ついてプロポーズなんて、今のスマホの時代の人が知っているのだろうか。
彼女の好きなモノに、さらに自分の想いを乗せて贈る。
一世一代のこんな晴れ舞台の依頼を、お断りするわけにはいかない。
ご覧の通り、セットは原宿と渋谷をごっちゃにしたような世界。
ビルも小物も多く、制作には骨が折れる。プロポーズの日程も決まっている。
私も心を込めつつも、急いで制作した。
私は最後のサプライズプレゼントとして、彼氏が用意したティファニーのエンゲージリングをミニチュアで創って、男性の人形に持たせた。
実は、本物の天然ダイヤを手に入れ、嵌め込んだのだ。
そしてプロポーズの場所に向かった。
帰途につく頃、カップルの素敵な笑顔の写真が送られてきた。
Mission accomplished
とある大きな駅のそばに、そのバーはあった。
常連の笑い声が絶えず、店内にはありとあらゆるお酒が所狭しと並んでいた。
そのバーが、駅前再開発で移転を余儀なくされるという。
この空間で夜を過ごした仲間達との想い出を何とか遺して、お世話になった店長にプレゼントしたい。
というのが、女性常連客からのご依頼だった。
店舗の解体が始まる前に、できるだけ詳細に店内の写真を撮ってもらう様に依頼した。
私は写真から実物をスケール通りに、ほぼ正確に復元する技術を持っている。
ただ、寸法通りに作ると、まぁ酒瓶の小さいこと・・・。ビール瓶がマッチ棒くらいしかない。
女性のドレスのようなエレガントなシルエットの椅子。高級感溢れる壁のしつらえ。
そこにみんなの酒瓶を並べた。そうだ!と閃いて、私の得意技術のひとつ、LEDを使ったダウンライトも再現した。
薄暗い店内に、煌々とライトの明かりが光った。
少しだけ寂寥感の漂う店内。お酒とタバコの残り香。おつかれさま。ありがとう。そう聞こえた様な気がした。
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
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